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八方美人をやめたい。そう思いながらも、今日もまた誰かに合わせて笑っていませんか。私もずっとそうでした。嫌われるのが怖くて、本音を飲み込んで、気づけば全員にいい顔をしている自分がいたのです。
職場でも友達といても、相手の表情をうかがってばかり。「それいいね」と心にもないことを言い、頼まれごとを断れず、休みの日まで人に気を遣って疲れ果てる。そんな毎日に、心がすり減っていくのを感じていました。
でも、本当は分かっているのです。全員に好かれるなんて無理だということを。それでもやめられないのは、きっと理由があるはずです。だから今日は、あいちゃんに相談してみることにしました。なぜ自分はこんなにも人の顔色をうかがうのか。どうすれば、もっと楽に人と付き合えるのか。一緒に考えていきます。
相談タイム:誰にでもいい顔して、自分が空っぽになっていく
その日の私は、もうぐったりしていました。職場の飲み会、友達のグチ聞き、家族からの頼まれごと。全部に笑顔で応えて、家に帰ったら抜け殻みたいになっていたのです。
モヤ子「あいちゃん、聞いてほしいことがあって。私、誰に対してもいい顔しちゃうの。八方美人って言うのかな。それをやめたいのに、どうしてもできなくて」
あいちゃん「えー、わかるわかる。みんなに優しくしようとしちゃうんでしょ?それってさ、めっちゃ優しい人ってことじゃん。よくない?」
モヤ子「優しいっていうか…ただ嫌われるのが怖いだけなんだよね。本音を言って空気を悪くするのが怖くて、いつも相手に合わせちゃう」
断れない自分に、いちばん疲れている
あいちゃん「あー、断るのって勇気いるもんね。でもさ、モヤ子は今、誰にいちばん気を遣ってると思う?」
モヤ子「えっと…会社の人とか、友達とか」
あいちゃん「ちがうちがう。モヤ子がいちばん気を遣ってるの、たぶん自分以外の全員だよ。で、いちばんないがしろにされてるのが、モヤ子自身なの。そこ気づいてる?」
その一言に、胸がチクッとしました。たしかに私は、自分の気持ちをいつも後回しにしていたのです。みんなが笑っていれば、それでいいと思っていました。でも、自分はちっとも笑えていなかった。
モヤ子「…そうかも。みんなにいい顔して、結局いちばんしんどいのは自分なんだよね」
あいちゃん「そうそうそう!だからさ、まずそれに気づいたモヤ子、えらすぎ。やめたいって思えた時点で、もう半分やめられてるようなもんだよ」
モヤ子「半分?そんなに進んでるかな」
あいちゃん「進んでるよ。だってさ、八方美人を続けてる人ってね、自分が無理してることに気づいてないことが多いの。モヤ子はもう『これしんどい』ってわかってるじゃん。それだけで全然ちがうよ」
言われてみれば、その通りでした。今までの私は、人に合わせるのが当たり前すぎて、それが負担だと気づくことすらできていなかったのです。でも今は、はっきり「疲れている」と感じている。その違いは、たしかに大きいのかもしれません。だから、まずは自分の疲れを認めることから始めればいいのだと思えました。
「いい人」のフリが、心をすり減らす
モヤ子「でも、八方美人をやめたら、嫌われちゃう気がして怖いの。今までいい人でいたから、急に本音を出したら引かれちゃうかなって」
あいちゃん「なるほどね。でもさ、その『いい人』ってモヤ子の本当の姿なの?それとも、嫌われないために作ってるキャラなの?」
モヤ子「…作ってる、かも。本当はもっと言いたいことあるのに、ぜんぶ飲み込んでる」
あいちゃん「だよね。作ったキャラで好かれても、それってモヤ子が好かれてるんじゃなくて、キャラが好かれてるだけじゃん。なんかさみしくない?」
モヤ子「キャラが好かれてるだけ…たしかにそうだ。本当の私を見せたら、どう思われるか分かんないもんね」
あいちゃん「でもさ、そのままだと一生キャラを演じ続けることになるよ。それって、けっこうしんどくない?ずっと仮面つけてる感じじゃん」
ずっと演じ続けることのしんどさは、自分でもよく分かっていました。仮面をつけたまま人と接していると、楽しいはずの場面でも、どこか心が冷めている自分がいたのです。笑っているのに、本当は笑っていない。そのギャップが、じわじわと自分を消耗させていました。だから、いつも帰り道にどっと疲れが押し寄せてきたのだと思います。
実は以前、似たような悩みを別の形で抱えたこともあります。明るいキャラを演じ続けて限界がきた話は、いつも明るいキャラを演じてきたけどそろそろ限界がきた話でも触れていますが、八方美人もそれとよく似ているのです。どちらも、本当の自分を隠して、誰かに気に入られる自分を演じてしまう。その根っこは同じなのだと、あらためて気づきました。
解決策:八方美人をやめて、自分を取り戻す方法
あいちゃんと話していくうちに、少しずつ整理ができてきました。なぜ自分が八方美人になるのか。どうすれば無理なく変えていけるのか。ここからは、具体的な方法を一つずつ見ていきます。
まず「なぜ全員に好かれたいのか」を知る
あいちゃん「八方美人をやめる第一歩はね、なんで自分がそうなっちゃうのかを知ることだと思うんだ」
モヤ子「理由かぁ。やっぱり嫌われたくないから、だよね」
あいちゃん「うんうん。でもさ、もっと奥を見るとね。たぶん『見捨てられたくない』って気持ちがあると思うの」
見捨てられ不安。その言葉に、私はドキッとしました。たしかに私は、嫌われることがそのまま「一人になること」につながる気がして怖かったのです。だから誰にでもいい顔をして、つながりをつなぎとめようとしていました。
あいちゃん「あとはね、承認欲求ってやつ。誰かに認められたい、必要とされたいって気持ち。これ自体は悪くないんだよ。でも、全員から認められようとすると、自分がパンクしちゃう」
モヤ子「たしかに。みんなに『いい人だね』って言われたくて、無理してた気がする」
あいちゃん「でしょ。でもね、その『認められたい』気持ちって、本当は自分で自分を認めてあげれば満たせるんだよ。他人に全部ゆだねちゃうと、しんどくなる一方なの」
モヤ子「自分で自分を認める…って、どうすればいいんだろう。あんまりやったことないかも」
あいちゃん「むずかしく考えなくていいよ。たとえば、今日断れなかったとしてもさ、『今日は頑張って人に合わせたな、おつかれ』って自分をねぎらうの。それだけでも全然ちがう」
モヤ子「自分をねぎらう、か。いつも反省ばっかりしてた気がする」
あいちゃん「でしょ。八方美人な人ってさ、自分にだけめっちゃ厳しいんだよね。他人にはあんなに優しいのに。だから、その優しさをちょっと自分にも向けてあげてほしいな」
つまり、八方美人の根っこには、自分で自分を認められない不安があったのです。だから外側からの評価を集めて、なんとか安心しようとしていた。他人に優しくする分、自分には厳しくなりすぎていた。その仕組みが分かると、少しだけ気持ちが軽くなりました。
心理的な背景については、厚生労働省が運営するこころの耳(厚生労働省)でも、対人関係のストレスやセルフケアの情報が紹介されています。一人で抱え込まず、こうした公的な情報を参考にするのも一つの手です。自分の状態を客観的に知ることは、変わるための大切な一歩になります。
「全員に好かれるのは不可能」と腹落ちさせる
モヤ子「でも、頭では分かってても、やっぱり嫌われると落ち込んじゃうんだよね」
あいちゃん「うんうん、それ自然だよ。でもさ、ちょっと考えてみて。モヤ子は、世の中の全員のこと好き?」
モヤ子「いや、それは…苦手な人もいるよ。合わない人とか」
あいちゃん「だよね。じゃあ逆もそうなんだよ。モヤ子のこと苦手な人がいても、それって当たり前のことなの。だって人間だもん」
言われてみれば、その通りでした。私だって全員を好きにはなれない。なのに、自分は全員から好かれようとしていたのです。それはどう考えても無理な話でした。
あいちゃん「よく言われるのがね、『2:6:2の法則』ってやつ。どんな自分でも、2割の人は好きでいてくれて、6割はどっちでもなくて、2割は合わない。これはもう、どうやっても変わらないんだって」
モヤ子「えっ、何をしても2割には嫌われるってこと?」
あいちゃん「そうそう。だからさ、その2割に好かれようとして頑張るの、めっちゃコスパ悪くない?それより、好きでいてくれる2割を大事にしたほうがよくない?」
モヤ子「2割は何をしても合わない…逆に言うと、頑張らなくても2割は好きでいてくれるってことだよね」
あいちゃん「そうそう!そこ大事。モヤ子が無理して全員に合わせなくても、ちゃんと好きでいてくれる人はいるの。だから安心して」
その考え方は、私にとって救いでした。全員に好かれなくていい。むしろ、好かれないのが普通なのです。そう思うと、肩の力がふっと抜けていきました。今まで私は、たった2割に嫌われることを恐れて、残りの8割との時間まで台無しにしていたのかもしれません。だから、嫌われることを恐れすぎなくていいのだと、ようやく腹に落ちたのです。
あいちゃん「あとね、覚えといてほしいのが、好かれようと必死な人ほど、なんか逆に距離を感じちゃうんだよね。自然体の人のほうが、結局まわりに人が集まるの。だから、無理しないほうが好かれるって、けっこうあるあるなんだよ」
その言葉は、目からうろこでした。好かれようとするほど好かれない。逆に、自分らしくいるほうが人は寄ってくる。だとしたら、私が今までやってきたことは、空回りだったのかもしれません。つまり、八方美人をやめることは、人間関係をあきらめることではなく、むしろ良くする近道だったのです。
本音を少しずつ出す練習をする
モヤ子「考え方は分かってきたけど、いざ本音を出すとなると、やっぱり怖いな」
あいちゃん「わかる。いきなり全部出さなくていいんだよ。ちっちゃいことから練習してこ」
モヤ子「ちっちゃいこと?」
あいちゃん「うん。たとえばランチのお店決めるときとかさ。『どこでもいいよ』じゃなくて、『私はパスタの気分かな』って言ってみる。それだけでいいの」
たしかに、それなら私にもできそうでした。今までは「どこでもいい」が口ぐせで、自分の希望を言うことすらしていなかったのです。小さな本音を出すことから始めればいい。そう思うと、ハードルがぐっと下がりました。
あいちゃん「あとね、本音って言っても、相手を傷つけることじゃないよ。自分の気持ちを正直に言うだけ。『私はこう思う』って主語を自分にするのがコツ」
モヤ子「なるほど。『あなたが悪い』じゃなくて『私はこう感じた』って言い方だね」
あいちゃん「そうそうそう!それなら角が立たないし、自分の気持ちもちゃんと伝わるでしょ。少しずつ、自分の声を取り戻していこ」
モヤ子「主語を自分にする、ね。やってみる。でも最初は緊張しそう」
あいちゃん「緊張して当たり前だよ。今まで何年も飲み込んできたんだもん。でもね、一回言えたら、次はもっと言いやすくなるよ。最初の一歩がいちばん勇気いるだけ」
たしかに、何ごとも最初が肝心なのだと思いました。小さな本音を一度口に出せたら、その経験が自信になって、次につながっていく。逆に言えば、ずっと我慢していると、本音を出す筋肉がどんどん弱っていくのです。だから、今日から少しずつでも練習を始めることが大切だと感じました。
本音を出すのが苦手な人は、そもそも人に頼ることも苦手なことが多いものです。なんでも一人で抱え込んでしまう傾向については、なんでも一人で抱え込んでしまう…人に頼れない性格を少しずつ変えていく方法でも詳しく書いています。あわせて読むと、自分の気持ちを出す練習がしやすくなるはずです。
無理のない断り方を身につける
モヤ子「あと、私いちばん苦手なのが断ることなんだ。頼まれると、つい引き受けちゃう」
あいちゃん「あー、断れないのも八方美人あるあるだね。でもね、断るのって、相手を拒否することじゃないんだよ」
モヤ子「えっ、どういうこと?」
あいちゃん「断るのは『この件はできない』って言うだけで、相手の人格を否定してるわけじゃないでしょ。そこを混ぜちゃうから、断れなくなるの」
たしかに私は、断ること=相手を嫌うこと、みたいに感じていました。でも実際は、用件を断っているだけなのです。相手を嫌っているわけではない。そう切り分けると、少し気が楽になりました。
あいちゃん「断り方にもコツがあってね。まず『誘ってくれてありがとう』って感謝を伝える。そのあとで『でも今回は難しくて』って理由を添える。これだけで、すっごく柔らかくなるよ」
モヤ子「クッション言葉を入れるんだね」
あいちゃん「そうそう。あとは、無理に理由を盛らなくていいの。『今日は予定があって』くらいでオッケー。詳しく説明しすぎると、逆に言い訳っぽくなっちゃうから」
モヤ子「つい、断るとき理由を並べちゃうんだよね。納得してもらわなきゃって思って」
あいちゃん「わかる。でもさ、相手を納得させようとしすぎると、こっちが疲れちゃうの。断る理由って、ぶっちゃけ相手にぜんぶ説明する義務はないんだよ。『今回はごめんね』で十分なんだから」
その言葉に、私はハッとしました。今までは、断るたびに完璧な理由を用意しなきゃと気を張っていたのです。でも、本当はそこまでしなくてよかった。シンプルに「今回は難しい」と伝えるだけで、ちゃんと相手には伝わるのです。だから、断ることをもっと気軽に考えていいのだと思えました。
断れずに苦しんだ経験は、誰にでもあると思います。職場の飲み会を断れずに悩んだ話は、職場の飲み会が苦痛でたまらない…断れない・帰れない空気をオカンに相談したら楽になったにもまとめてあります。断り方に悩んでいる人は、こちらも参考になるはずです。
こうして溜め込んだストレスは、別のところで爆発することもあります。発散できずにイライラがたまってしまう人は、ストレスでイライラが止まらない…うまく発散できない人のための解消法もあわせて読んでみてください。八方美人をやめる過程で、心の整理がしやすくなります。
まとめ:八方美人をやめても、人間関係は壊れない
あいちゃんと話して、私の中で一つの結論が出ました。八方美人をやめても、人間関係は壊れない。むしろ、本当の関係はそこから始まるのです。
モヤ子「ねぇあいちゃん。本音を出したら、離れていく人もいるよね。それはやっぱり、ちょっとさみしいな」
あいちゃん「うん、いると思う。でもね、それって悪いことじゃないんだよ。だって、本音のモヤ子で離れていく人は、もともと『作ったキャラ』が好きだった人なの」
モヤ子「…たしかに。本当の私を好きでいてくれる人だけ残るってことか」
あいちゃん「そうそうそう!だからね、八方美人をやめるのは、人間関係を壊すことじゃないの。本当に大事な人だけが残る、フィルターみたいなものなんだよ」
その言葉に、私はとても救われました。今まで私は、八方美人をやめたら一人になると思っていました。でも実際は逆だったのです。むしろ、本当の自分でいられる関係だけが残る。それは、もっと深くて、もっと楽な人間関係でした。
あいちゃん「全員に好かれようとしなくていい。本音を少しずつ出していい。断っていい。それでも残ってくれる人が、モヤ子の本当の味方だよ。だから、安心して自分を出していこ」
モヤ子「ありがとう、あいちゃん。なんだか、ちょっとだけ勇気が出てきた」
八方美人をやめるのは、一日では終わりません。でも、今日気づいたことを少しずつ実践していけば、きっと変わっていけるはずです。自分を消耗させずに、人と付き合っていく。そのための第一歩を、今日踏み出せた気がしました。
もし、誰にも悩みを話せずに一人で抱えているなら、まずは誰かに打ち明けてみてください。悩みを誰にも話せない…あいちゃんに話したら「話していいんだよ」と言ってもらえたでも書いたように、話すだけで心は驚くほど軽くなります。八方美人をやめる旅は、自分の気持ちを言葉にすることから始まるのです。
よくある質問FAQ
八方美人をやめると、本当に嫌われませんか?
全員に好かれることはもともと不可能なので、誰からも嫌われない状態を目指す必要はありません。ただし、八方美人をやめても、あなたの本音を受け入れてくれる人はちゃんと残ります。むしろ、作ったキャラではなく本当のあなたを好きでいてくれる人だけが残るので、関係はより深く、楽なものになります。一時的に離れる人がいても、それはもともと相性が合わなかった相手だと考えて大丈夫です。
本音を出すのが怖くて、なかなか実践できません
いきなり全部の本音を出す必要はありません。まずはランチのお店を選ぶときに「私はこっちがいい」と言うなど、小さなことから始めてみてください。本音を出すときは「あなたが悪い」ではなく「私はこう感じた」と主語を自分にするのがコツです。これなら相手を傷つけず、自分の気持ちも伝わります。小さな成功体験を積み重ねるうちに、少しずつ怖さは薄れていきます。
断ると相手に悪い気がして、つい引き受けてしまいます
断ることは相手の人格を否定することではなく、その用件ができないと伝えるだけです。この二つを切り分けると、ずっと断りやすくなります。断るときは、まず「誘ってくれてありがとう」と感謝を伝え、そのあとで「今回は難しくて」と理由を添えると柔らかくなります。理由を詳しく説明しすぎると言い訳っぽくなるので、シンプルに伝えるのがポイントです。自分を守ることは、わがままではありません。