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褒められると素直に喜べない、と感じていませんか。それは自己否定グセやコンプレックスが原因かもしれません。最近、読者さんからこんな相談をもらいました。「人から褒められても、つい否定してしまうんです」と。
会社で「資料、すごく分かりやすかったよ」と言われた。でも口から出たのは「いえ、たまたまです」だった。本当はうれしいのに、言葉が素直に出てこない。そんな自分にモヤモヤしている、という相談でした。
あなたにも、似た経験はありませんか。褒め言葉を受け取れず、つい「そんなことないです」と打ち消してしまう。そして後から、なんであんな返し方をしたんだろう、と落ち込む。今日はそのモヤモヤを、一緒にほどいていきます。
褒められた瞬間、なぜか体がこわばる。うれしいはずなのに、心がうまく動かない。そして反射的に「いやいや」と手を振ってしまう。それは、あなたが冷たい人だからではありません。むしろ、人の好意をちゃんと感じ取れる人だからこそ、受け止め方に迷ってしまうのです。
だから、まずは安心してください。この記事では、なぜ喜べないのかという原因から、明日から使える具体的な受け取り方まで順番にお伝えします。読み終わるころには、肩の力が少し抜けているはずです。それでは、一緒に見ていきましょう。
相談タイム
モヤ子「あいちゃん、聞いてよ。昨日また同じことやっちゃった」
あいちゃん「どうしたの。何があったの?」
モヤ子「先輩に『その服似合ってるね』って言われたの。なのに『えー、安物だよ』って即答しちゃって」
あいちゃん「あー、なるほどね。せっかくの褒め言葉なのに、反射で打ち消しちゃったんだ」
モヤ子「そうなの。しかも一度や二度じゃないの。仕事でも、見た目でも、ぜんぶ否定から入っちゃう」
あいちゃん「うんうん。でもね、それって性格が悪いとかじゃないよ。むしろ逆かも」
モヤ子「逆?どういうこと?」
あいちゃん「謙虚であろうとしてるんだよね。出しゃばっちゃダメ、って無意識にブレーキ踏んでるの」
モヤ子「たしかに…調子に乗ってると思われたくない気持ちはあるかも」
あいちゃん「でしょ。だから否定が口グセになっちゃう。でもそれ、本当はもったいないことなんだ」
モヤ子「もったいない?」
あいちゃん「うん。だって褒めてくれた相手は、あなたを喜ばせたかったんだよ。なのに否定されたら、相手も寂しいよね」
モヤ子「あっ…それは考えてなかった。相手の気持ちかぁ」
あいちゃん「そうなの。だから今日は、なんで喜べないのか、その正体から見ていこっか」
モヤ子「うん、お願い。なんか自分でもよく分かってないんだよね」
あいちゃん「大丈夫。順番にほどいていけば、ちゃんと『ありがとう』が言えるようになるから」
モヤ子「でもさ、急に喜んだら『調子に乗ってる』って思われない?それが怖いんだよね」
あいちゃん「うん、その不安よく分かる。でもね、ありがとうって言うのと調子に乗るのは別物だよ」
モヤ子「別物…?同じに感じちゃうんだけど」
あいちゃん「『私すごいでしょ』って自慢するのが調子に乗る、だよね。でも『ありがとう、うれしい』は、ただ感謝してるだけ」
モヤ子「あー…たしかに。感謝って自慢じゃないもんね」
あいちゃん「そう。だから安心して。むしろ笑顔でありがとうって言える人のほうが、まわりも気持ちいいよ」
モヤ子「そっか。私、ずっと逆だと思ってた。否定するのが謙虚で正しいって」
あいちゃん「うんうん。その思い込みをほどくのが、今日のゴールね。じゃあ具体的なやり方、いってみよっか」
あいちゃん「いいねその顔。実はね、喜べないって悩める時点で、もう半分解決してるんだよ」
モヤ子「えっ、そうなの?まだ何もしてないのに?」
あいちゃん「うん。だって自分のクセに気づいてるってことでしょ。気づけたら、あとは変えるだけ」
モヤ子「なるほど…たしかに、前は気づきもしなかったかも」
あいちゃん「そうそう。だから自分を責めないで。気づけた自分を、まず褒めてあげよ」
モヤ子「ふふ、それも練習だね。じゃあ、さっそく教えて!」
褒められて素直に喜べない自分を変える受け取り方
喜べないのは性格ではなく自己評価のクセが原因
褒められると素直に喜べない。その正体は、性格ではありません。自分への評価が低い、という心のクセです。だから褒め言葉が来ても、心のなかで拒否反応が起きてしまうのです。
たとえば「すごいね」と言われたとします。でも自分のなかには「私なんて大したことない」という前提があります。すると、相手の言葉と自分の認識がぶつかります。その違和感を消すために、つい否定してしまうのです。
つまり、褒め言葉を疑っているわけではありません。自分のことを信じられていないだけなのです。だから「お世辞でしょ」「たまたまでしょ」と打ち消す。そうやって自分の低い自己評価を守ろうとします。
このクセは、子どものころの経験から作られることが多いです。たとえば、頑張っても認められなかった。あるいは「謙虚にしなさい」と教えられ続けた。そのため、褒められること自体に慣れていないのです。
とくに、まわりと比べられて育った人は要注意です。「お姉ちゃんはできるのに」と言われ続けた。すると、自分にはいつも足りない、という感覚が残ります。だから、褒められても「まだまだだ」と感じてしまいます。つまり、過去の比較グセが今も尾を引いているのです。
厚生労働省の運営する「こころの耳」でも、自分を責めすぎる思考のクセについて触れられています。厚生労働省「こころの耳」では、考え方の偏りに気づくことが回復の第一歩だと説明されています。だから、まず原因を知ることが大切なのです。
もう一つ、見落としがちな理由があります。それは「期待に応えなきゃ」という重圧です。褒められると、次も同じ自分でいなきゃ、と感じます。だからプレッシャーを避けるために、先に否定して期待を下げるのです。つまり、防御として打ち消していることもあります。
ここで覚えておいてほしいことがあります。喜べないのは、あなたが悪いからではありません。ただクセがついているだけです。クセなら、これから直せます。そのため、自分を責める必要はまったくないのです。
大切なのは、原因を「自分の欠陥」だと思わないことです。これは、心が身につけた防御の習慣にすぎません。だから、悪者探しをやめましょう。そして、ここからは直し方のほうに目を向けていきます。原因が分かれば、対処はもうすぐそこです。
似たような自己否定の悩みは、SNS比べグセを手放す方法でも詳しく書いています。あわせて読むと、自分を責めるクセの全体像が見えてきます。
否定の口グセを「ありがとう」に置き換える
では、どうすれば変われるのでしょうか。いちばん簡単なのは、最初の一言を変えることです。具体的には「いえ」を「ありがとう」に置き換えます。たったこれだけで、印象は大きく変わります。
たとえば「資料、分かりやすかったよ」と言われたとします。これまでなら「たまたまです」と返していました。これからは「ありがとうございます」と返します。心がついてこなくても、言葉だけ先に変えるのです。
なぜ言葉が先でいいのでしょうか。それは、行動が心を引っ張るからです。先に「ありがとう」と言う。すると、だんだん心も追いついてきます。つまり、感情を変える前に、まず口を変えるのです。
最初はぎこちなくて当然です。慣れない言葉だから、違和感があります。しかし、何度も繰り返すうちに自然になります。そのため、最初の数回は「練習」だと思ってください。完璧でなくていいのです。
うまく言えた日は、自分を褒めてあげましょう。「今日はありがとうって言えた」と。小さな成功を、ちゃんと認めるのです。すると、次もやってみようと思えます。つまり、成功体験が次の一歩を後押しします。だから、できた日は見逃さないでください。
もし「ありがとう」だけでは物足りなければ、一言足してみましょう。たとえば「ありがとうございます、うれしいです」と。そうやって素直な気持ちを少し添えると、相手にもちゃんと伝わります。だから関係も温かくなります。
もう一つコツがあります。それは、否定の言葉を先に飲み込むことです。「いえ」と言いそうになったら、一呼吸おきます。その間に「ありがとう」へ切り替えます。つまり、反射のスピードを少しだけ落とすのです。すると、口グセに上書きできます。
とはいえ、いきなり全部の場面で実践しなくて大丈夫です。まずは安心できる相手から始めましょう。たとえば、仲のいい友人や家族です。ハードルの低い相手で練習する。そうすれば、自然に体が慣れていきます。だから職場で使うのは、その後で構いません。
ここで大事なのは、謙遜と否定は違うということです。謙遜は相手を立てる行為です。一方、否定は相手の好意を打ち消す行為です。つまり「ありがとう」は、謙遜よりずっと相手を大切にする返し方なのです。
もし、とっさに言葉が出ないときは、笑顔だけでも十分です。にっこり笑って、軽く会釈する。それだけでも、相手には好意が伝わります。つまり、完璧な返事を用意しなくていいのです。だから気負わず、できる形から始めてください。
いい子を演じて本音が言えない悩みは、「いい子」を演じすぎて消耗してしまう話でも触れています。否定グセの根っことつながっているので、参考になります。
コンプレックスは「事実」と「解釈」に分ける
褒められて喜べない裏には、コンプレックスが隠れています。だから、そのコンプレックスとの向き合い方も大切です。ここでおすすめなのが、事実と解釈を分けて考える方法です。
たとえば「私は人見知りだ」と思っているとします。これは事実のようで、実は解釈です。本当の事実は「初対面で緊張する」だけかもしれません。そこに「だから私はダメだ」という解釈をくっつけているのです。
つまり、コンプレックスの多くは解釈でできています。出来事そのものより、その意味づけが自分を苦しめます。だから、まず事実と解釈を切り分けます。すると、思っていたほど深刻ではないと気づけます。
具体的にやってみましょう。紙に、気になっている短所を書きます。次に、それが事実か解釈かを分けます。たとえば「声が小さい」は事実です。でも「だから頼りない」は解釈です。こうして分けるだけで、心が軽くなります。
なぜ軽くなるのでしょうか。それは、苦しみの正体が解釈だと分かるからです。事実は、変えられないこともあります。しかし解釈は、自分で選び直せます。つまり、苦しみの大部分は手放せるのです。だから、分けて見るだけで前に進めます。
さらに、その解釈をひっくり返してみます。「声が小さい」は「落ち着いて聞こえる」とも言えます。「人見知り」は「慎重で誠実」とも言えます。つまり、短所と長所は同じ性質の裏表なのです。だから見方しだいで変わります。
褒められたときも同じです。相手はその裏表の「良い面」を見てくれています。なのに自分は「悪い面」しか見ていません。だからズレが生まれます。そのため、相手の見方を一度信じてみることが大切なのです。
さらに、解釈には「決めつけ」が混じりがちです。たとえば「一度失敗したから、私はいつもダメ」と考える。でも本当は、一度の失敗にすぎません。つまり「いつも」は事実ではないのです。だから、決めつけの言葉に気づくだけでも楽になります。
この作業は、慣れるまで紙に書くのがおすすめです。頭のなかだけだと、事実と解釈がごちゃ混ぜになります。しかし書き出すと、はっきり分かれて見えます。そのため、モヤモヤしたときは一度書いてみてください。心の整理が驚くほど進みます。
他人の目が気になって疲れる人は、他人の目が気になる時の心の守り方も読んでみてください。コンプレックスと人目の関係が整理できます。
自分を褒める習慣で受け取る土台を作る
最後は、自分で自分を褒める習慣です。なぜなら、人の褒め言葉を受け取れないのは、自分を褒めた経験が少ないからです。だから、まず自分で土台を作っていきます。
やり方はシンプルです。寝る前に、その日できたことを三つ書きます。大きな成果でなくて構いません。「朝ちゃんと起きた」でいいのです。「人に挨拶できた」でも十分です。小さなことを、わざわざ言葉にします。
書く場所は、スマホのメモでも手帳でも構いません。続けやすい方法を選びましょう。ただし、できれば毎日同じ時間がいいです。寝る前など、習慣に組み込みます。すると、忘れずに続けられます。だから、生活の流れに乗せることが大切です。
なぜ小さなことでいいのでしょうか。それは、自己評価は積み重ねで育つからです。大きな成功は、めったに起きません。一方、小さなできたことは毎日あります。だから、それを拾い続けると、自分への信頼が育ちます。
このとき、人と比べないことが鉄則です。「あの人はもっとできてる」は禁止です。比べた瞬間、せっかくの褒めが消えます。つまり、昨日の自分とだけ比べるのです。そうすれば、ちゃんと前に進めます。
比較は、自己評価をすり減らす最大の敵です。上には上がいるからです。だから比べ始めると、きりがありません。一方、過去の自分となら、成長がはっきり見えます。つまり、比べる相手を変えるだけで、心が前向きになります。そのため、矢印は常に自分へ向けてください。
続けていくと、変化が起きます。自分のいい面に、自然と目が向くようになります。すると、人から褒められたときも「たしかに」と思えます。だから「ありがとう」が、心から言えるようになるのです。
この習慣には、もう一つ効果があります。それは、気分の波に強くなることです。落ち込んだ日でも、できたことは必ずあります。それを拾えると、底まで沈みにくくなります。つまり、自分を褒める力は心のクッションになるのです。だから、続ける価値は大きいのです。
慣れてきたら、もう一歩進めてみましょう。できたことに「えらい」と一言そえるのです。「朝起きてえらい」と心のなかでつぶやく。最初は照れくさいかもしれません。しかし、自分をねぎらう感覚が育ちます。だから、人の褒め言葉にも素直になれます。
もし三つ書くのが大変なら、一つでも構いません。大事なのは量より継続です。毎日少しずつ、自分を認める。そのため、無理のない範囲で続けてください。続けることが、いちばんの力になります。
そして、書いたものは消さずに残しましょう。落ち込んだ日に読み返すためです。過去の自分が積み重ねたできたことを見る。すると、自分は何もできていない、という思い込みが崩れます。つまり、記録そのものが心の支えになるのです。
夜に自分を責めてしまう人は、孤独な夜の乗り越え方も参考になります。寝る前の心の整え方として、あわせて読んでみてください。
まとめ
褒められると素直に喜べないのは、性格ではありません。自己否定グセと、低い自己評価が原因です。だから、自分を責める必要はまったくないのです。
まず、最初の一言を変えましょう。「いえ」を「ありがとう」に置き換えます。心がついてこなくても、言葉が先で大丈夫です。そのうち、感情も追いついてきます。
次に、コンプレックスは事実と解釈に分けます。短所の多くは、見方しだいで長所になります。つまり、相手は良い面を見てくれているのです。だから、その見方を信じてみましょう。
そして、自分を褒める習慣を作ります。寝る前に、できたことを書き出すだけです。小さなことでいいのです。そうやって土台ができると、人の褒め言葉も受け取れるようになります。
大切なのは、四つを一気にやらないことです。まずは一つだけ選びましょう。たとえば「ありがとう」と言う練習だけでいいのです。一つが習慣になったら、次に進みます。つまり、欲張らないほうが長く続きます。だから、無理のない一歩から始めてください。
焦らなくて大丈夫です。クセは、少しずつほどけていきます。今日から一つ、できることから始めてみてください。あなたが心から「ありがとう」と言える日は、きっと近いです。
よくある質問
褒められて否定するのは失礼にあたりますか
結論から言うと、悪気がなくても相手を少し寂しくさせてしまいます。なぜなら、相手は喜ばせたくて褒めてくれたからです。それを打ち消すと、好意が宙に浮いてしまいます。だから「ありがとう」と受け取るほうが、相手も安心します。とはいえ、これまでの自分を責める必要はありません。知った今日から、少しずつ変えていけば大丈夫です。
心から喜べなくても「ありがとう」と言っていいですか
はい、まったく問題ありません。むしろ、心が追いつかないうちは、言葉だけ先で大丈夫です。なぜなら、行動が感情を引っ張るからです。先に「ありがとう」と口にする。すると、だんだん本当にうれしく感じられるようになります。つまり、最初は練習でいいのです。完璧を目指さず、まず言ってみることが大切です。
自己否定グセを直すのにどれくらいかかりますか
人によって違いますが、焦る必要はありません。長年かけてついたクセだからです。ただ、毎日少しずつ続ければ、変化は必ず訪れます。たとえば、自分を褒める習慣を二週間続けてみてください。それだけで、心が軽くなる人は多いです。そのため、期間より継続を意識しましょう。気づけば、自然に喜べる自分になっています。