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季節の変わり目に入ったとたん、秋なのにだるい。そんな相談を読者さんからもらいました。
9月の朝、空気は少しだけ軽くなっています。だから体も楽になるはずでした。ところが実際は逆だったそうです。起き上がれない。昼過ぎに頭が回らない。夕方には甘いものに手が伸びる。
このだるさには、この時期ならではの事情があります。ひとつは夏のあいだに積み上がった疲れ。もうひとつは、一日の中でどんどん開いていく寒暖差です。つまり体は、二方向から負荷を受けています。
厄介なのは、季節の変わり目の不調が周りに伝わらないことです。熱が出るわけでも、どこかが腫れるわけでもない。見た目に出ないぶん、「気合いが足りない」で片づけられがちです。自分でもそう思ってしまう人が多い。
今回はジムの熱血トレーナーに入ってもらいました。モヤ子の夏の過ごし方を一つずつ聞き取ります。そこで見えたものから、秋の入り口で体を立て直す順番を組み立てます。
読み終わるころには、今夜どこから手をつけるかが決まっているはずです。特別な道具はいりません。まとまった時間も要求しません。
ただし先に伝えておきます。だるさが何週間も引かない場合は、生活習慣の話ではありません。強い痛み・発熱・息苦しさをともなうときも同じです。早めに医療機関で相談してください。ここで扱うのは、そこまでいかない日常の整え方です。
相談タイム
モヤ子「トレーナー、聞いてください。9月に入ってから、ずっと体が重くて」
熱血トレーナー「いいですね!自分の変化にちゃんと気づけてる。そこ、まず褒めさせてください!」
モヤ子「いや、よくないんですけど…」
熱血トレーナー「気づけない人のほうが多いんですよ。で、どう重いですか。朝ですか、夕方ですか」
モヤ子「朝がいちばんきついです。目覚ましを止めた記憶がないくらいで」
熱血トレーナー「なるほど!じゃあ夜は。寝つきはどうです」
モヤ子「布団に入ると、逆に目が冴えるんですよね。それでスマホ見ちゃって」
熱血トレーナー「日中はどうです。仕事、回ってますか」
モヤ子「午前はまだいけるんです。でも昼を食べたあとが本当にだめで」
熱血トレーナー「そこで甘いもの、いってません?」
モヤ子「……チョコ食べてます。三時くらいに」
熱血トレーナー「正直でいいですね!責めてるわけじゃないので安心してください」
モヤ子「毎年こんなだった気もするんですけど、今年はとくにひどくて」
熱血トレーナー「よし、だいぶ見えてきました。もう少し聞かせてください!」
秋になってからだるい日が続いている
モヤ子「夏バテなら分かるんです。でも今は9月ですよ。涼しくなったのに、なんでだるいんだろうって」
熱血トレーナー「その『涼しくなったのに』が、まさに今日の話です!」
モヤ子「涼しいほうが楽なはずじゃないですか」
熱血トレーナー「楽になるのは、夏をちゃんと乗り切れた体です。乗り切れてない体は、涼しくなってから疲れが出てきます」
季節の変わり目に出るこうした不調は、俗に秋バテと呼ばれます。広く使われている言い方ですが、医学的な病名ではありません。だから診断に使う言葉ではなく、体調の傾向をざっくり指す呼び方だと思ってください。
モヤ子「じゃあ気のせいってことですか」
熱血トレーナー「違います!体はちゃんと反応してます。名前がついてないだけです」
出方は人それぞれです。眠気が前に出る人。食欲だけ落ちる人。肩や首のこりとして出る人もいます。一方で、朝だけつらくて午後には戻るという人も少なくありません。
モヤ子「わたし、たぶん全部です。眠いし、食べられないし、肩もガチガチで」
熱血トレーナー「わかりました。それ、別々の不調じゃない可能性が高いです」
季節の変わり目には、体温を保つ働きと内臓を動かす働きが、同時に忙しくなります。そのため余力が削られます。眠気も、食欲の落ち込みも、その余力不足のあらわれとして出てくることがあります。
モヤ子「じゃあ一個ずつ潰していくんじゃなくて」
熱血トレーナー「土台からまとめて上げにいきます!そのほうが結局は早いです」
ちなみに、だるさの引き金が気圧側にあることもあります。雨が近い日だけ決まってつらいなら、そちらのほうが疑わしい。そのときは低気圧で頭痛やだるさがつらい…不調を軽くする整え方のほうが近いです。
秋バテと呼ばれるものをまず疑ってみる
熱血トレーナー「この夏、冷房は何度で使ってました?」
モヤ子「家は26度です。会社はもっと寒くて、ひざ掛けが手放せませんでした」
熱血トレーナー「服装は!」
モヤ子「半袖にサンダルですね。それで足元だけ冷えるっていう」
熱血トレーナー「飲み物はどうでした」
モヤ子「アイスコーヒーか、氷たっぷりの炭酸水です。毎日」
熱血トレーナー「お風呂は!」
モヤ子「6月からずっとシャワーだけです…」
熱血トレーナー「そろいましたね!これ、全部つながってます」
三か月ぶん積み重なると、体はそれなりに消耗します。冷えた室内と暑い屋外を、一日に何度も行き来する。そのたびに体温を調節する働きが動きます。つまり、意識していないところで体力を使っているわけです。
しかも夏の暑さは9月に入っても簡単には引きません。環境省の熱中症予防情報サイトでも、暑さ指数の情報提供は10月21日まで続きます。秋の入り口は、まだ夏の延長線上にあります。
モヤ子「夏の疲れ、まだ終わってないってことですか」
熱血トレーナー「終わってません!むしろここから出てきます」
さらに寒暖差が乗ってきます。9月は朝と日中の気温差が開きやすい時期です。昼は真夏に近く、朝は上着がほしい。この差に合わせて、体は毎日こまかく調整を繰り返します。そのため、特別なことをしていなくても疲れます。
加えて、9月は日ごとの気温もぶれます。真夏が戻る日と、一気に肌寒くなる日が交互に来る。だから体は「今日はどっちだ」と毎朝やり直しになります。
モヤ子「先週の月曜、半袖で出たら夕方に凍えました」
熱血トレーナー「あるあるです!その日の夜、寝つき悪かったんじゃないですか」
モヤ子「……当たってます」
熱血トレーナー「昼間に体を酷使すると、夜まで引きずるんですよ。ぜんぶ地続きです」
モヤ子「会社に行って帰ってきただけなんですけどね」
熱血トレーナー「それでも体はフル稼働です。だから立て直しにいきましょう!」
解決策
ここからは順番の話です。全部を一度に変えようとすると、だるい体には重すぎます。そこで、効きやすいところから並べました。
夏のあいだずっと冷やし続けた体を秋に温め直す
最初に手をつけるのは、体の内側です。冷房と冷たい飲み物で三か月冷やし続けたお腹は、涼しくなっただけでは戻りません。
熱血トレーナー「今日から飲み物、常温にしましょう!」
モヤ子「えっ、いきなり全部ですか」
熱血トレーナー「最初の一杯だけでいいです。朝の一杯を温かいものに替える。それだけで十分スタートです!」
朝いちばんに温かいものを胃に入れると、体は動き出しやすくなります。白湯でもいいし、味噌汁でも構いません。ただしカフェインの濃いものは、空腹だと胃に響くことがあります。
モヤ子「白湯って、正直おいしくないんですよね」
熱血トレーナー「白湯じゃなくていいです!スープでも、ほうじ茶でも構いません」
次が湯船です。シャワーだけの習慣は、夏のあいだは合理的でした。しかし秋の入り口では話が変わります。ぬるめのお湯に十分ほど浸かるだけで、体の芯の温度が戻りやすくなります。
モヤ子「十分って、意外と長くないですか」
熱血トレーナー「スマホ持ち込んでいいです!時間より、毎晩やることのほうが大事なので」
さらに、日中の対策も足しておきます。オフィスの冷房が強いなら、靴下と羽織りものを置きっぱなしにしておく。膝から下を冷やさないだけで、夕方のだるさの出方が変わります。
食べるものも、少しずつ秋側へ寄せていきます。冷たい麺で済ませていた昼を、汁物のある献立に替える。それだけでもお腹の温度は違います。品数まで急に増やす必要はありません。夏に落ちた食欲は、温かいものから戻りやすい。
モヤ子「食欲、まだ半分くらいしか戻ってないんですよね」
熱血トレーナー「無理に量を追わなくていいです!温度から先に戻しましょう」
冷えが季節に関係なく続いているなら、根っこは別かもしれません。その場合は冷え性で年中だるい…体を芯から温める習慣の作り方のほうが役に立ちます。
寒暖差に置いていかれる朝の首まわり
秋の入り口でいちばん体を疲れさせるのが、一日の中の気温差です。朝は肌寒く、昼は汗ばむ。そのたびに服が合いません。
熱血トレーナー「首、手首、足首。この三つを覚えてください!」
モヤ子「なんで首なんですか」
熱血トレーナー「皮膚のすぐ下を太い血管が通ってるからです。ここが冷えると、全身が冷えたと判断されます」
だから薄いストールが一枚あると効きます。冷房の効いた電車でも、屋外に出たときでも、巻いたり外したりで調整できます。つまり、着替えずに気温差をしのげる。
足首も同じ理屈です。夏に履いていたサンダルを、そろそろ靴へ戻す。それだけで夕方に入ってくる冷えの量が減ります。
モヤ子「カーディガンだと暑いんですよね、昼は」
熱血トレーナー「その感覚、正解です!脱ぎ着の回数を増やすほうが体はラクなんですよ」
もうひとつ、朝の窓を五分だけ開けてみてください。外の空気に触れると、体はその日の気温を早い段階で受け取ります。そのため、家を出た瞬間の落差が小さくて済みます。
モヤ子「朝、窓を開ける余裕なんてないんですけど」
熱血トレーナー「カーテンを開けるついででいいです!十秒でも外気に当たれば違います」
季節の変わり目は、体に予告を出してあげる時期だと考えてください。いきなり外へ放り出すより、少しずつ知らせるほうが負担は軽くなります。
ただし、寒暖差そのものをなくすことはできません。できるのは、体が受ける衝撃を小さくすることだけです。それでも積み重なると、夕方の残り方がだいぶ違ってきます。
秋なのに眠りが浅いのはなぜか
だるさと眠気が同時に来る人は、たいてい夜に原因が残っています。眠っている時間は足りているのに、疲れが抜けていないパターンです。
モヤ子「時間は寝てるんですよ。七時間くらい」
熱血トレーナー「じゃあ質のほうですね。冷房、つけっぱなしでした?」
モヤ子「タイマーで三時間にしてます。切れたら暑くて起きちゃうんですけど」
熱血トレーナー「それです!夜中に一回起きてるなら、そこで眠りが切れてます」
夏のあいだにできた夜更かしの癖は、そのまま持ち越されます。暑くて寝つけない夜にスマホを見る。その習慣だけが、涼しくなってからも居座るわけです。
モヤ子「たしかに、寝る前のスマホは夏に始まりました」
熱血トレーナー「犯人が出ましたね!やめろとは言いません。時間だけ決めましょう」
厚生労働省の睡眠対策のページでは、睡眠ガイドやリーフレットが公開されています。自己流で迷ったときは、そちらを土台にすると判断が早くなります。
そこで、まず朝の光を先に整えます。起きたらカーテンを開ける。それだけで夜の眠気が来る時刻が前に動きやすくなります。
モヤ子「夜より朝を触るんですか」
熱血トレーナー「はい!夜は結果のほうです。朝が原因側にいます」
寝室の温度も見直すタイミングです。9月の夜は、寝入りばなだけ暑くて明け方に冷えることがあります。明け方の冷えを考えると、タイマーで途中に切らないほうがいい日もあります。弱めの設定にして、朝まで回してみてください。
モヤ子「電気代が気になるんですけど」
熱血トレーナー「わかります!ただ、寝不足で一日つぶれるコストのほうが高いですよ」
眠りの浅さが夏の前から続いているなら、眠りが浅くて疲れが取れない…睡眠の質を上げる整え方が近いです。むしろ朝の起き上がりだけがつらいなら、朝どうしても起きられない…二度寝グセを抜ける目覚め方を先に読んでみてください。
だるい日でも続けられる軽い運動
ここでトレーナーの本領が出ます。だるいときこそ動く、という話です。
モヤ子「無理です。動ける体力がないから困ってるので」
熱血トレーナー「わかります!だから今日は三分だけにしましょう」
モヤ子「三分」
熱血トレーナー「肩を回して、その場で足踏み。それで終わりです!」
血のめぐりが落ちた状態で座り続けると、だるさは濃くなります。しかし強い運動は逆効果です。夏の疲れが残る体に高い負荷をかけると、翌日に響きます。
秋になると急にジムへ通い始める人が増えます。しかし、季節の変わり目に飛ばしすぎると二週間で消えます。だるい時期に必要なのは、量ではなく途切れないことです。
そのため、狙うのは強度ではなく回数です。一駅ぶん歩く。階段を一階分だけ使う。昼休みに外へ出る。どれも三分で終わります。
また、やる時間帯を決めておくと迷いが消えます。朝が動かないなら昼休みに固定する。夜しか無理なら湯船の前へ回す。決まった場所に置くほうが、意志に頼るより残ります。
モヤ子「それ、運動って言えます?」
熱血トレーナー「言えます!やらない日をゼロにするほうが、はるかに効きます」
夕方に体を動かすと、夜の寝つきにもつながります。つまり、ここまでの三つと別々の話ではありません。温めて、寒暖差をしのいで、眠って、動く。この四つは地続きです。
モヤ子「順番があるって言われたの、そういうことだったんですね」
熱血トレーナー「そうです!どこから入っても、最後は全部つながります」
運動から何年も離れているなら、順番を丁寧に踏んだほうが安全です。そのときは運動ゼロで体力が落ちた…日常で無理なく体力をつける方法が参考になります。
まとめ
季節の変わり目のだるさは、秋になって突然生まれたものではありません。夏の三か月ぶんが遅れて出てきているだけです。
モヤ子「原因が分かっただけで、ちょっと軽くなりました」
熱血トレーナー「いいですね!自分を責めなくて済むと、体は動きやすくなります」
今日から触るところは四つでした。朝の一杯を温かいものにする。首まわりを冷やさない。起きたらカーテンを開ける。三分だけ体を動かす。
全部やる必要はありません。むしろ、いちばん引っかかった一つだけを今夜から始めるほうが続きます。そこは欲張らないでください。
季節の変わり目は毎年やってきます。今年うまくいった手が分かれば、来年の9月はもっと軽く越えられます。今の不調は、その記録を取る機会でもあります。
モヤ子「わたし、お風呂からいきます。シャワーで済ませてたので」
熱血トレーナー「決まりましたね!じゃあ今夜、湯船に十分。それだけで今日は合格です!」
秋が深まるにつれて、寒暖差は落ち着いていきます。しかし、そこまで持ちこたえられる体かどうかは、この二週間の過ごし方で決まります。
モヤ子「なんとなく調子が悪いって、ずっと言い訳みたいで嫌だったんです」
熱血トレーナー「言い訳じゃないですよ。夏を走り切ったぶんのツケです。ちゃんと理由があります!」
だるい自分を責めても、体は回復しません。むしろ、責めるぶんのエネルギーがもったいない。原因が季節側にあると分かれば、やることは自然に決まるはずです。
それでも改善しない日が続くようなら、我慢して様子を見ないでください。だるさが長引くとき。体重が理由なく落ちるとき。日常生活に支障が出ているとき。そういう場合は、医療機関で相談するほうが早いです。生活習慣で片づけない判断も、立て直しの一部です。
よくある質問FAQ
季節の変わり目のだるさについて、読者さんからよく届く質問に答えます。
秋バテはどれくらいで抜けますか
個人差が大きく、何日でと言い切れるものではありません。ただし、生活を変えてから体感が動くまでには、ある程度の時間がかかります。一日で戻ることを期待すると、続ける前に諦めてしまいます。
目安として、まず二週間ほど同じことを続けてみてください。朝の起きやすさ、夕方の残り方。この二つが先に変わることが多いです。体重や見た目より先に、そちらを観察するほうが手応えをつかめます。
一方で、二週間続けても何も変わらないことがあります。その場合、原因は別のところかもしれません。自己判断で延長せず、医療機関に相談してください。
季節の変わり目のだるさは、生活を戻せば必ず同じ速さで抜けるものでもありません。むしろ、夏に無理をした量が多いほど時間がかかります。だから焦らずに構えておくほうが、結果として続きます。
だるいときに運動しても大丈夫ですか
強度を上げなければ、動いたほうが楽になることが多いです。しかし、ここは体の声を優先してください。熱がある、めまいがする、動悸がする。こうした状態のときは休むほうが先です。
熱血トレーナー「動けるかどうかの判断、簡単な基準があります!」
熱血トレーナー「立って肩を回して、少しでも気持ちよかったら動ける日です。しんどさが増したら、その日は休みでいきましょう!」
つまり、やる前に決めるのではなく、やりながら決める。だるい日の運動は、この順番のほうが失敗しません。
また、動いた翌日にだるさが増えていたなら、量が多すぎた合図です。そこで半分に減らす。この調整を何度か繰り返すうちに、自分の適量がつかめてきます。秋のあいだは、その探り方を覚える時期だと考えてください。
栄養ドリンクやサプリに頼ってもいいですか
補助として使うぶんには選択肢のひとつです。ただし、それだけで秋のだるさが解消するとは考えないでください。土台にあるのは、冷えと寒暖差と睡眠です。
とくに気をつけたいのが、カフェインの入った飲み物です。夕方以降に飲むと、その日の夜まで効いてしまうことも少なくありません。だから飲む時間帯を決めておくほうが安全です。
また、持病がある方や薬を飲んでいる方は注意が必要です。成分によって相性の問題が出ることもあります。そのため、サプリを新しく始めるときは、医師や薬剤師に確認してから使ってください。
モヤ子「結局、地味なことの積み重ねなんですね」
熱血トレーナー「そこに気づけたら強いですよ!派手な一手より、地味な四つが勝ちます」
モヤ子「今夜、湯船に十分でしたね」
熱血トレーナー「はい!明日の朝が少しでも軽かったら、それが答えです」