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最近、読者さんからこんな相談をもらって…
友達がいつも遅刻する。それも五分や十分ではなく、毎回三十分近く遅れてくるそうです。
相手は学生時代からの友達で、会えば話が尽きない人です。遅れたことは、着けばちゃんと謝ってくれます。ただ、連絡が届くのはいつも約束の時刻を過ぎてからです。「ごめん、いま出た」と来て、そこから着くまでにさらに二十分ほどかかります。
待つこと自体は、そこまで嫌ではないといいます。むしろつらいのは、待っているあいだに何も始められないことのほうでした。もうすぐ来るかもしれないと思うと、店にも入れず、帰るわけにもいきません。そのため、休日の午後のはじめは、毎回改札の前で過ぎていきます。
それでも、本人に言ったことは一度もないそうです。三十分くらいで文句を言うのは心が狭い気がして、口に出せずにいました。しかも、相手が「ごめーん」と走ってくると、言うきっかけ自体がなくなります。
今回はテキトー紳士と一緒に、この相談を考えていきます。決めるのは二つで、何分まで待つかと、その時間を過ぎたら何をするかです。遅刻癖を直してもらうための話ではありません。こちらが待ちっぱなしにならない約束を、次の予定にどう組み込むかの話です。
相談タイム|四十分待っても、友達に何も言えない理由
モヤ子「すみません、ここ座ってもいいですか」
テキトー紳士「どうぞどうぞ。おや、ずいぶん怖い顔で入ってきましたなあ」
モヤ子「怖い顔してました?友達を待ってるんです」
テキトー紳士「ほう、待ち合わせ」
モヤ子「一時に駅の改札だったんです。十五分立ってたんですけど、疲れちゃって」
テキトー紳士「それでここへ。今、一時二十分ですな」
モヤ子「ちょうど今、『ごめん、いま出た』って来ました」
テキトー紳士「いま出た。その方の家から駅までは?」
モヤ子「電車で二十分くらいです」
テキトー紳士「なら、一時四十分の人ですなあ」
モヤ子「笑いごとじゃないですよ。毎回こうなんです、サキ」
テキトー紳士「毎回」
モヤ子「だいたい三十分。高校のときからずっと」
テキトー紳士「十年越しですか。それはもう、筋金入りですなあ」
モヤ子「怒ってるわけじゃないんですよ。会えば楽しいし、悩みもちゃんと聞いてくれるし」
テキトー紳士「楽しい相手ほど、文句は言いにくいもんです」
モヤ子「それに、三十分で目くじら立てるのも、ちっちゃい人みたいで」
テキトー紳士「心の広さで測る話じゃありませんよ。土曜の三十分は、誰が待っても三十分ですわ」
モヤ子「……そう言われると、ちょっと救われます」
テキトー紳士「ひとつ聞いてもよろしいか。嫌なのは遅れてくることですか。それとも、待っとるあいだのほうですか」
モヤ子「待ってるあいだ、かなあ。もうすぐ来るって思うと、どこにも行けないじゃないですか」
テキトー紳士「ふむ」
モヤ子「本屋に入ったら、ちょうど着いたって連絡が来るかもしれないし。ごはんのお店に先に入るのも、なんか悪いし。結局、改札の前でずっとスマホ見てるんです」
テキトー紳士「あと何分か分からん待ち時間ほど、長いものはありませんからなあ」
紳士の質問で、遅刻そのものと待っている時間が分かれました。モヤ子を疲れさせていたのは、終わりの分からないまま立っている時間のほうです。終わりが見えなければ、本を開いても落ち着いて読めません。友達がいつも遅刻すると、待つ側の休日は相手が着くまで止まったままになります。
テキトー紳士「この店の窓ぎわにも、毎週のように人を待っとる方がおりましてな」
モヤ子「その人も遅刻されてるんですか」
テキトー紳士「されとります。ただ、平気そうな人と、ずっと入口ばかり見とる人がいる」
モヤ子「何が違うんですか」
テキトー紳士「平気そうな人は、何時まで待つかを決めてあるんです。その時刻になったら、コーヒーを飲み干して出ていく」
モヤ子「帰っちゃうんですか」
テキトー紳士「帰る人もおれば、先に買い物へ行く人もおる。終わりが決まっとるから、それまでは新聞でも読んでいられるわけですわ」
モヤ子「何時まで、か。考えたこともなかったです。来るまで待つものだと思ってたので」
テキトー紳士「来るまで待つと決めたら、終わりは相手まかせです。あなたの土曜の午後をいつ始めるかも、サキさんが決めとることになる」
モヤ子「それは……ちょっと嫌かも。前に別の友達から、三十分早い時刻を伝えておけばいいって言われたんですけど」
テキトー紳士「サキさんには十二時半と言うわけですな」
モヤ子「そしたら、ちょうど一時に来るかなって」
テキトー紳士「最初の一回は来るでしょうなあ。けど、どこかでばれます。ばれたら、向こうは次から三十分引いて動く」
モヤ子「いたちごっこだ」
テキトー紳士「それに、ほんとの時刻と嘘の時刻を両方覚えとくのは、あなたのほうですからな」
モヤ子「じゃあ、こっちもわざと遅れて行くとか」
テキトー紳士「それだと、待つ人が入れ替わるだけですわ。サキさんが改札で立つことになる」
時刻をずらすのも、わざと遅れるのも、相手の遅れに合わせて動いている点は同じです。待つ時間の終わりを自分で決めておけば、そこまでの時間は自分の予定として使えます。
モヤ子「でも、決めても言わなきゃ意味ないですよね。言ったら角が立ちません?」
テキトー紳士「いつ言うおつもりで?」
モヤ子「今日、サキが来たときに……?」
テキトー紳士「そこがいちばん言いにくい時ですなあ。向こうは走ってきて、謝っとる。そこへ切り出したら、どうしても責める話になります」
モヤ子「そうなんです。で、いつも『いいよいいよ』って言っちゃう」
テキトー紳士「言うのは、次の約束を決めるときですわ。日にちとお店を決めるついでに、一文足すだけ」
モヤ子「なんて足すんですか」
テキトー紳士「『二十分過ぎたら、先にお店入ってるね』。これくらいで」
モヤ子「あ、それなら言えそう。遅れないで、とは言ってないですもんね」
テキトー紳士「言うてません。自分がどうするかを知らせとるだけです」
遅れた日に切り出すと、話はその日の遅刻をどう謝るかに向かいます。一方で、約束を決めている段階では、まだ誰も遅れていません。その段階で出てくる「二十分」は、集合時刻や店の名前と同じ、予定の一部です。
モヤ子「そういえば、私もたまに遅れるんです。電車が止まったりして」
テキトー紳士「なら、その一文は二人の決まりにしてしまいなさい。『お互い、二十分過ぎたら先に入ってようね』」
モヤ子「あ、そのほうが言いやすい。サキだけに言ってるみたいにならないし」
テキトー紳士「あなたが遅れた日は、今度はサキさんがお店で待っとる。どっちが遅れても、改札に立ちっぱなしの人は出ませんわ」
モヤ子「でも、先に入ってたら、サキが気にしないかな。置いていかれたって」
テキトー紳士「ここだけの話、若いころの私は待たせるほうでしてな」
モヤ子「え、紳士さんがですか」
テキトー紳士「ええ。遅れとる電車の中は、生きた心地がしません。着いたら相手が先に始めとって、正直ほっとしたもんです」
モヤ子「ほっとするんだ」
テキトー紳士「待たせとる時間が、そこで止まりますからな」
モヤ子「でも、ほっとしたら、次はもっとのんびり来ませんか」
テキトー紳士「来るかもしれません。ただ、そうなっても遅れのぶんを持つのは向こうです。料理は進んどるし、話せる時間も短くなる」
モヤ子「今までは、その三十分を私が全部持ってたんですね」
テキトー紳士「改札の前に立ってな。それが本来の持ち主に戻るだけですわ」
モヤ子「じゃあ、なんで遅れるんですか。悪いと思ってるのに」
テキトー紳士「出る時刻の決め方が甘いんです。私は電車に乗っとる時間しか数えとりませんでした。駅まで歩く分も、ホームで待つ分も、まるごと抜けとった」
モヤ子「サキの『いま出た』も、それかもしれない」
遅れる理由は人によって違います。紳士のように時間の見積もりが甘い人もいれば、仕事の終わりが読めない人もいます。とはいえ、理由がどれであっても、待つ側が自分で決めておけることは変わりません。
テキトー紳士「ついでに、出た時刻より、着く時刻を聞いてみるとよろしい」
モヤ子「着く時刻?」
テキトー紳士「『何時に着きそう?』と返すんです。それが分かれば、本屋で待つか、先にお店へ行くか、あなたが選べる」
モヤ子「今まで『了解!』しか返してなかったです」
テキトー紳士「了解と返したら、あとは待つほかありませんからなあ」
モヤ子「じゃあ、今やってみます。『何時に着きそう?』……あ、もう返ってきた。『一時四十分くらい!』だって」
テキトー紳士「着く時刻が分かると、待ち方も変わるでしょう」
モヤ子「なんか落ち着きました。一時四十分までなら、ここで本でも読んでます」
テキトー紳士「今日だって、十五分で改札を離れてここへ来とる。違うのは、疲れてから動くか、前もって決めて動くかだけです」
モヤ子「あ、そっか。じゃあ次のごはんの約束で、二十分って書いてみます。過ぎたら先にお店に入る」
テキトー紳士「ええですな。二十分なら、コーヒー一杯で待てる長さです」
解決策|友達がいつも遅刻するなら、待つ時間の終わりを先に決める
待ち合わせで待てる時間を、先に自分の中で決めておく
まず決めるのは、何分まで待つかです。目安は、その時間で相手が着いても、普通の顔で「おつかれ」と言える長さ。三十分を過ぎたあたりで顔に出る人なら、上限はその手前の二十分か二十五分です。モヤ子は、紳士が例に出した二十分で書いてみることにしました。
待つ場所によっても、ちょうどいい長さは変わります。屋根のない改札前で冬に待つなら短めに、座れる店の中なら長めにします。寒い改札前では、顔に出さずに待てる時間そのものが短くなるからです。
上限と一緒に、過ぎたら何をするかも決めておきます。そこがあいまいなままだと、時間が来ても結局その場から動けません。先にお店に入って注文する。近くの本屋で待つ。あるいは、会う目的が食事だけなら、その日は帰ると決めておく人もいます。どれを選ぶにしても、待っていた時間を取り戻せる動きを一つ用意しておきます。
終わりの見えない待ちが重なると、怒っていなくても言葉に棘が出ることがあります。上限を決めておくのは、そうなる前の手当てでもあります。それでも言葉がきつくなったときの扱い方は、すぐカッとなって後悔する…怒りに振り回されない自分になる方法に書きました。
友達がいつも遅刻する前提で、待ち合わせ場所と予定を選ぶ
待ち合わせ場所は、改札前より店の中が向いています。座って待てるうえに、相手が来たらそのまま始められるからです。さらに、駅近くのカフェや本屋を一つ決めておけば、毎回場所を相談する手間も省けます。
集合時刻も、相手の生活に合わせて置き直せます。朝が弱い人なら、十一時の約束を正直に一時へずらすだけで、遅れが縮むこともあります。嘘の時刻を伝えるのとは違い、こちらは二人とも同じ時刻を知っています。
食事の店にも、向き不向きがあります。All Aboutで恋愛・人間関係ガイドをしているひかりさんの記事に、「遅刻魔」とは縁を切るべき? 直らない“悪癖”に見切りをつけるタイミングとはがあります。記事では食べ放題などを例に、「時間制限があるもの」は避けた方がいいとしています。二時間制の店で三十分遅れれば、二人で話せる時間は一時間半に減ります。しかも、待たされた側だけでなく、遅れた側も落ち着いて食べられません。
予約を入れた店の場合は、時刻になったら一人でも入っておきます。遅れると席を待ってもらえない店もあるからです。
開演時刻のあるライブや映画も、遅れる相手と二人で向かう形は避けたいところです。どうしても一緒に行くなら、チケットは各自で持ち、会場の中で会うことにします。そうすれば、相手が遅れても自分は最初から観られます。
遅刻のことは、次の約束を決めるときに一文で伝える
LINEで日にちと店が決まったところに、一文だけ足します。たとえば「二十分過ぎたら、先にお店に入ってるね」。あるいは「遅れそうなときは、着く時間を教えてもらえると助かる」。どちらか一方だけにしておきます。二つ並べると、急に注文の多い連絡に見えてしまいます。
反対に、避けたいのは「いつも遅れるよね」から始める書き方です。過去の遅刻を持ち出されると、相手は謝るか言い訳するかのどちらかになります。そうなると、肝心の日にちや店の話がなかなか進みません。
文面は短いほど軽く届きます。「ごめんね」や長い事情を重ねるほど、深刻な相談に見えてきます。
送るのは、二人のトークにします。グループに書くと、ほかの友達の前で注意されたように受け取られかねないからです。
その一文すら送れない、という人もいるはずです。その場合、引っかかっているのは遅刻より、嫌われたくない気持ちのほうかもしれません。嫌われたくなくて本音が言えない…「いい子」を演じすぎて消耗してしまうに、その気持ちとの付き合い方を書いています。
決めた時間が来たら、待つのをやめて動き出す
二十分たったら、決めておいたとおりに動きます。そのとき、相手には居場所だけを送ります。「先に入ってるね。奥の窓側にいるよ」くらいで、怒っている気配は乗せません。
ここで「今日だけは」と延ばすと、決めた上限はなかったのと同じになります。さらに、相手から見ても、結局いつもどおり待っていてくれる人のままです。逆に、一度そのとおりに動けば、相手も次からは先に始まっている前提で向かえます。
迷いやすいのは、上限の直前に「あと五分!」と届いたときです。五分くらいならと改札で待つと、その五分が十分になり、十五分になることもあります。そこへは「了解、お店で待ってるね」と返しておきます。延ばす代わりに店へ移っておけば、相手が本当に五分で着いても困りません。
相手が着いたら、遅刻の話は蒸し返さずに、そのまま食事を続けます。謝られたら「いいよ、先に頼んじゃった」と返せば、その話はそこで終わります。店で始めていたことで、伝えたいことはもう伝わっています。
まとめ|友達がいつも遅刻するときに、次のLINEで足す一文
友達がいつも遅刻する悩みは、待つ時間に終わりをつけると軽くなります。何分まで待つかと、過ぎたら何をするかを、自分の側で決めておきます。
相手には一文で知らせ、店は時間制限のないところを選びます。そして当日、決めた時間が来たら、そのとおりに動きます。友達を変えようとしなくても、休日の午後が改札の前で止まる時間は短くできます。
モヤ子「あ、サキから。『駅着いた!どこ?』だって」
テキトー紳士「一時四十二分。読みどおりですなあ」
モヤ子「せっかくだし、今日のうちに二十分の話もしちゃおうかな」
テキトー紳士「今日はやめときなさい。次のお店を決めるときに、一文だけ」
モヤ子「そうでした。じゃあ今日は、普通に楽しんできます」
よくある質問FAQ
仕事のせいで遅れる友達にも、待つ時間の上限を決めていいですか
決めておくほうが、お互いに楽です。仕事の都合で遅れる人は、本人にも終わる時刻が読めません。出られる時刻も分からないまま人を待たせるのは、遅れる側も気が重いものです。こちらが先に始めていると分かっていれば、その重さも少し軽くなります。
変えるとしたら、待ち合わせの場所と日取りです。平日の夜なら、相手の職場の近くで、一人でも入りやすい店を選んでおきます。そうすれば、仕事が押しても移動の時間が短いぶん、着くまでの遅れも縮まります。平日の夜は仕事に左右されやすいので、休日の昼に会う回を混ぜてもいいでしょう。
仕事が押している最中は、こちらのLINEに返す余裕もないことがあります。「終わったら着く時間だけ教えて」と一度送っておけば、相手は手が空いたときに返すだけで済みます。着くのが遅すぎて話す時間がほとんど残らないなら、日を改めてもかまいません。そのときは「じゃあ来週の木曜は?」と次の候補も出しておくと、断ったような後味が残りにくくなります。
待つ時間を決めたと伝えたら、怒っていると思われませんか
自分の動きを知らせるだけの一文なら、まず思われません。理由を添えたくなったら、「先に頼んでおけるし」くらいの一言にしておきます。相手にとっても都合のいい理由なら、責めている感じは出ません。返事が「気をつけるね」だったら、「ありがと」で終えておきます。その返事に反省の言葉まで求めると、話がまた遅刻のことに戻ってしまいます。
それでも「怒ってた?」と聞き返されたら、そこで初めて本音を短く話してもいいと思います。「怒ってたわけじゃなくて、待つあいだ何もできないのが困ってた」と一つだけ言えば、相手も何に気をつければいいか分かります。
何度伝えても遅刻が直らないときは、距離を置いたほうがいいですか
距離を置く前に、会い方を変えてみる手があります。二人きりではなく何人かで会えば、誰かが遅れても残りの人で先に始められます。店をコースではなく一品ずつ頼めるところにしておけば、遅れて来た人も途中から加わりやすくなります。また、長いランチを短いお茶にするだけでも、待ち時間の割合は小さくなります。
もっとも、上限を決めても相手が気にせず、会うたびに気持ちが沈むなら、会う回数を減らしていい時期です。減らすなら、こちらから誘う間隔を少しあけるところから始めます。遅刻のほかにも疲れる場面が重なっているなら、女友達との付き合いが疲れる…なんか合わなくなった関係の整え方もあわせて読んでみてください。
逆に、上限を決めて気持ちが軽くなったなら、遅刻はもう小さな問題になっています。友達がいつも遅刻するのは変わらなくても、会って楽しい相手なら、二十分の約束を続けながら付き合っていけます。